国内ETFの種類と特徴

国内に投資するETFの種類を紹介

ETFは日本語にすると「上場投資信託」で、証券取引所に上場していて、株のように証券取引所が開いていればリアルタイムで売買ができる投資信託です。株のように取引があれば刻一刻と値が動きますが、あくまで投資信託なのでファンドが集めた資金は多数の資産に分散投資されます。

一口にETFといっても、それぞれのファンドによって投資先が異なります。ETFをひとくくりに捉えず、投資先に目を向けて銘柄を選ぶのが大切です。

今回の記事では、主に国内の資産に投資するETFの種類について紹介します。自分が投資するETFの銘柄選びの参考にしてください。

日本の株式指数に連動するETF

日本株の代表的な価格指数に連動することを目指して運用されるETFが複数あります。日本の株価指数には、たとえば次のようなものがあります。

  • 日経平均株価|日本を代表する225社の株価の単純平均
  • TOPIX|日本の主要企業が時価総額加重平均で組み入れられている。2024年4月末時点で2,146銘柄

特定のテーマなどに偏ることなく日本の株式市場全体に分散するのと近い効果が得られます。日本の株式市場に投資したいが重視したい特定の業種、テーマなどがない、多くの日本企業に分散投資したいといった方には適したタイプのETFといえます。

日本の株式指数に連動するETFの例

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銘柄 ベンチマーク 運用会社
iFreeETF TOPIX(年1回決算型) TOPIX 大和アセットマネジメント
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 TOPIX 野村アセットマネジメント
iFreeETF 日経225(年1回決算型) 日経平均株価 大和アセットマネジメント
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 日経平均株価 野村アセットマネジメント

日本の特定業種に投資するETF

日本の業種を17業種に分けて、それぞれの業種にフォーカスして投資するETFがあります。TOPIXには、従来使われていた33業種区分を、さらに投資しやすいように再編したTOPIX-17という業種別の株価指数があります。ETFでは、各業種に加えて「銀行」にフォーカスしたETFがあります。

いずれも運用会社は野村アセットマネジメントです。

  • 食品:NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信
  • エネルギー資源:NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)
  • 建設・資材:NEXT FUNDS 建設・資材(TOPIX-17)上場投信
  • 素材・化学:NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信
  • 医薬品:NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信
  • 自動車・輸送機:NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信
  • 鉄鋼・非鉄:NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信
  • 機械:NEXT FUNDS 機械(TOPIX-17)上場投信
  • 電機・精密:NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信
  • 情報通信・サービスその他:NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信
  • 電力・ガス:NEXT FUNDS 電力・ガス(TOPIX-17)上場投信
  • 運輸・物流:NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信
  • 商社・卸売:1629NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信
  • 小売:NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信
  • 銀行:NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信
  • 金融(除く銀行):1632NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信
  • 不動産:NEXT FUNDS 不動産(TOPIX-17)上場投信

各ファンドとも、該当業種の日本企業に分散投資します。特定の業種の成長にフォーカスして投資するなら、業種別のETFを購入しましょう。

ここでは代表して6つの業種について紹介します。

エネルギー資源

石油や天然ガスなど、エネルギー資源の生産や採掘、精製などを行う企業が集まっています。エネルギー需要や価格は世界経済の動向の影響を受けやすいため、景気敏感株の一種とみられる傾向にあります。

NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • ENEOS
  • INPEX
  • 出光興産
  • コスモエネルギーHD
  • 石油資源

自動車・輸送機

自動車・輸送機の大手企業は海外シェアが大きい傾向にあります。企業の収益性や成長性において世界経済の影響を受けやすいのが特徴です。また、海外比率が高いため円安になると円ベースでの業績が上向く傾向に。為替変動の影響を受けやすいのも特徴といえます。

NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • トヨタ自動車
  • ホンダ
  • デンソー
  • ブリヂストン
  • スズキ

運輸・物流

運輸・物流というと、陸運・空運・海運などの運輸業が一通り組み入れられています。日本のインフラを担う業種の一角であり、セクター全体で見れば相対的に景気変動や為替変動の影響を受けにくい業種です。

組入銘柄を細かく見た場合、空運や海運は景気敏感な業種のひとつでもあります。陸運に含まれる鉄道や倉庫業などが、景気変動の影響を受けにくい業種です。

NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • JR東日本
  • 日本郵船
  • JR東海
  • 商船三井
  • 全日本空輸

商社・卸売

商社・卸売セクターの指数は、5大総合商社が組入率のシェア上位を独占しています。総合商社は上流から下流まで幅広く事業を展開しており、さらに資源事業に関する投資も積極的です。そのため、特定の領域にフォーカスして卸業を行う一般的な卸売りセクターとは特徴が異なります。資源価格や景気動向の影響を受けやすいセクターとなっています。

NEXT FUNDS 商社・卸売(TOPIX-17)上場投信の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • 三菱商事
  • 三井物産
  • 伊藤忠商事
  • 住友商事
  • 丸紅

小売

小売の大手企業の中には海外展開している企業もありますが、基本的には内需中心のセクターです。上位企業は食品などの生活必需品、ファーストリテイリングのようにリーズナブルな製品を扱う企業が多いため、景気への感応度は高くありません。内需中心のため、円安が逆風要因となりがちなセクターでもあります。

NEXT FUNDS 小売(TOPIX-17)上場投信の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • ファーストリテイリング
  • 7&iホールディングス
  • イオン
  • パンパシフィックホールディングス
  • ニトリホールディングス

金融(除く銀行)

銀行を除く金融というと、つぎのような企業が含まれます。

  • 証券会社
  • 保険
  • リースなどノンバンク

証券会社は、株価が上がれば取引が活発化する傾向にあります。保険会社も景気が上向けば運用成績が向上するため、基本的には景気に連動しやすいセクターです。近年では新NISAによる投資の促進なども好影響となっています。

NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信の組入銘柄例(2024/5/16時点)

  • 東京海上日動
  • オリックス
  • MS&AD
  • 第一生命ホールディングス
  • 野村證券

日本株のテーマ別ETF

業種以外の特定のテーマのもと運用されるETFも複数存在します。

  • 高配当株
  • リスク分散
  • その他

高配当株のETFは、一般に配当利回りが高い銘柄を中心に分散投資をします。高配当株にフォーカスした株式指数に連動するインデックス投資信託です。

日本株の高配当ETFの例

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銘柄 ベンチマーク 運用会社
iFreeETF TOPIX高配当40指数 TOPIX高配当40指数(配当込み) 大和アセットマネジメント
上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) 東証配当フォーカス100指数 日興アセットマネジメント
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信 野村日本株高配当70 野村アセットマネジメント
iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF MSCI ジャパン高配当利回り指数(配当込み) ブラックロック・ジャパン

配当収入を潤沢に得られる株は値動きが安定する傾向にあるため、高配当株投資は相対的に価格変動の影響を抑えられる可能性があります。なおETFの分配金は必ずしも投資先の配当水準とは連動しないため、高配当株ETFの分配金が多いとは限らない点に注意しましょう。

リスク分散を重視したインデックスETFもあります。同タイプのETFでは、価格変動リスクを抑える事を目標に銘柄分散がなされます。オーソドックスな株価指数と比べて、リスクを抑えた日本株投資が可能です。

日本株のリスク低減型のETFの例

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銘柄 ベンチマーク 運用会社
iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF MSCI 日本株最小分散指数(配当込み) ブラックロック・ジャパン
上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ MSCIジャパンIMIカスタム高流動性高利回り低ボラティリティ指数 日興アセットマネジメント

その他にも、多様なテーマのETFが販売されています。ESGや投資還元、技術開発など特定のテーマにフォーカスしたETFがあります。自分が注目するテーマに沿って投資ETFを選びましょう。

日本株のさまざまなテーマ型ETFの例

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銘柄 テーマ 運用会社
iFreeETF MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 ESG 大和アセットマネジメント
NEXT FUNDS野村企業価値分配指数連動型上場投信 設備・人材投資などの還元政策に積極的 野村アセットマネジメント
グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF ロボティクスやAIなどの先端技術開発 Global X Japan
NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信 女性の活躍を後押しする銘柄 野村アセットマネジメント

日本株のレバレッジ・インバース型ETF

投資信託では「ブル」「ベア」とも呼ばれるもので、本来の市場リスクを数倍に増幅させたり、逆に値下がり時に収益があがるポジションを取ったりできるタイプのETFです。市場の方向性に強い確信があるときに、その方向性に沿ったETFを購入するのもひとつの考え方といえるでしょう。

なお、エンハンス型のETFはその運用の特性上、横ばいやレンジ推移の時にはリターンが徐々に下向く可能性の高い銘柄であるため、市場変動が大きいときに適しています。市場が急変する局面は長続きしづらいため、長期投資には必ずしも適していません。

日本株のレバレッジ・インバース型ETFの例

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銘柄 値動きの方向性 運用会社
TOPIXブル2倍上場投信 TOPIXの2倍 シンプレクス・アセット・マネジメント
iFreeETF TOPIXインバース(-1倍)指数 TOPIXの逆の値動き 大和アセットマネジメント
TOPIXベア2倍上場投信 TOPIXの逆の2倍の値動き シンプレクス・アセット・マネジメント
iFreeETF 日経平均レバレッジ・インデックス 日経平均の2倍の値動き 大和アセットマネジメント

株式指数と同じ方向で数倍の変動率となる銘柄は「ブル」、逆の値動きをする銘柄は「インバース」「ベア」といった銘柄名となるケースが多くなっています。双方で収益の出方が真逆となるので、投資する際には間違えないように注意しましょう。

日本債券ヘ投資するETF

ETFは全てが株に投資するわけではなく、債券に投資するETFもあります。債券は、企業や国などの借金を証券にしたものです。債券へ投資した投資家は、クーポンと呼ばれる金利収入を定期的に受け取れます。

また、満期には債券の額面が返済されます。以上のような特徴から、一般に債券は株式よりもリスクが低いのが特徴です。企業の倒産などにより満期の返済が滞らない限りは当初決められた金利収入が得られるため、景気が悪化する局面でも損失が発生しにくい傾向にあります。

日本国内で発行される債券は、大きく分けて国が発行する「国債」と企業が発行する「社債」があります。ETFでは、国債のみに投資する銘柄と、国債・社債の双方に投資する銘柄があります。国債は、債券の中でもとりわけリスクが低いのが特徴です。

日本債券ヘ投資するETFの例

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銘柄 ベンチマーク 運用会社
NEXT FUNDS国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信 NOMURA-BPI総合(国債・社債) 野村アセットマネジメント
iシェアーズ・コア 日本国債 ETF FTSE日本国債インデックス ブラックロック・ジャパン

日本の上場REIT(J-REIT)ヘ投資するETF

東証に上場しているREITであるJ-REITへ分散投資するETFもあります。REITとは日本語でいうと不動産投資信託で、ファンドで集めた資金を不動産へ投資する商品です。

投資先の不動産から得た賃料収入や売買益がファンドの収益源となります。ETFでは、多数のJ-REITからなるREIT指数に連動することを目指して運用されます。

J-REITヘ投資するETFの例

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銘柄 ベンチマーク 運用会社
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 東証REIT指数 野村アセットマネジメント
MAXIS Jリート上場投信 東証REIT指数 三菱UFJアセットマネジメント
iFreeETF 東証REIT Core指数 東証REIT Core指数(配当込み) 大和アセットマネジメント

まとめ

今回は、国内の資産に投資するETFについて、投資資産の特徴で分類して紹介しました。一口にETFといっても、投資先によって特徴は大きく異なります。ETFの組入資産にも着目したうえで、投資する銘柄を検討しましょう。

なお、東証に上場するETFの中には、海外の資産に投資する銘柄も多数存在します。
海外資産に投資するETFを中心に紹介した記事もございますので銘柄選びの際には、合わせて参考にしてください。

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